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函館地方裁判所 昭和58年(わ)133号 判決

裁判所書記官

石田彪

本店所在地

北海道茅部郡森町字新川町一二九番地

カネマル風間水産株式会社

右代表者代表取締役風間正一

右代理人

風間美津子

本籍並びに住居

右同所

会社役員

風間匠

昭和一二年四月一七日生

右両名に対する各法人税法違反被告事件について、当裁判所は、検察官小黒和明出席のうえ審理し、次のとおり判決する。

主文

被告人カネマル風間水産株式会社を罰金七〇〇万円に、被告人風間匠を懲役一〇月にそれぞれ処する。

被告人風間匠に対し、この裁判確定の日から二年間その刑の執行を猶予する。

理由

(罪となるべき事実)

被告人カネマル風間水産株式会社は、北海道茅部郡森町字新川町一二九番地に本店を置き水産物の売買及びその加工販売等を目的とする資本金五〇〇万円の株式会社であり、被告人風間匠は、同会社の取締役として業務全般を実質的に統括しているものであるが、被告人風間匠において、被告人会社の業務に関し、法人税を免れようと企て、売上を除外し、架空経費を計上し、更に棚卸資産を圧縮するなどの不正な方法により所得を秘匿したうえ

第一  昭和五四年七月一日から同五五年六月三〇日までの事業年度における同会社の所得金額が一、一四四万〇、六九六円であり、これに対する法人税額が三七〇万七、〇〇〇円であるにもかかわらず、同五五年九月一日、北海道山越郡八雲町六〇番地所在八雲税務署において、同税務署長に対し、所得金額が一三〇万四、三三九円であり、これに対する法人税額が三三万六、一〇〇円である旨の内容虚偽の法人税確定申告書を提出し、もって、不正の行為により同会社の右事業年度における正規の法人税額と右申告税額との差額三三七万〇、九〇〇円の法人税を免れ

第二  昭和五五年七月一日から同五六年六月三〇日までの事業年度における同会社の所得金額が三、三八〇万六、六五八円であり、これに対する法人税額が一、三一九万五、七〇〇円であるにもかかわらず、同五六年八月三一日、前記八雲税務署において、同税務署長に対し、所得金額が八一〇万八、二九二円であり、これに対する法人税額が二四〇万二、五〇〇円である旨の内容虚偽の法人税確定申告書を提出し、もって、不正の行為により同会社の右事業年度における正規の法人税額と右申告税額との差額一、〇七九万三、二〇〇円の法人税を免れ

第三  昭和五六年七月一日から同五七年六月三〇日までの事業年度における同会社の所得金額が五、七九八万八、三七二円であり、これに対する法人税額が二、三二四万〇、五〇〇円であるにもかかわらず、同五七年八月三一日、前記八雲税務署において、同税務署長に対し、所得金額が一、〇二八万一、一六七円であり、これに対する法人税額が三二〇万三、五〇〇円である旨の内容虚偽の法人税確定申告書を提出し、もって、不正の行為により同会社の右事業年度における正規の法人税額と右申告税額との差額二、〇〇三万七、〇〇〇円の法人税を免れ

たものである。

(証拠の標目)

判示全部の事実について

一  被告人風間匠の当公判廷における供述

一  被告人風間匠の検察官に対する供述調書

一  被告人風間匠の大蔵事務官に対する質問てん末書六通

一  風間美津子の検察官及び大蔵事務官(質問てん末書八通)に対する各供述調書

判示冒頭の事実について

一  被告人会社代表者風間正一の大蔵事務官に対する質問てん末書

一  商業登記簿謄本

判示第一ないし第三の各事実について

一  大蔵事務官作成の「脱税額計算書」、「現金調査書」、「預金調査書」、「売掛金調査書」、「商品、製品調査書」「仮払金調査書」、「専務勘定調査書」、「未払金調査書」、「未納事業税調査書」及び「価格変動準備金調査書」と題する各書面

一  押収してある法人税決議書一綴(昭和五八年押第二四号の1)

(法令の適用)

被告人カネマル風間水産株式会社の判示第一の所為は昭和五六年法律五四号(脱税に係る罰則の整備等を図るための国税関係法律の一部を改正する法律)附則五条により同法による改正前の法人税法一五九条一項、一六四条一項に、判示第二及び第三の各所為はいずれも法人税法一五九条一項、一六四条一項にそれぞれ該当するが、以上は刑法四五条前段の併合罪であるから同法四八条二項により各罪所定の罰金の合算額の範囲内で被告人カネマル風間水産株式会社を罰金七〇〇万円に処することとし、被告人風間匠の判示第一の所為は前記昭和五六年法律五四号附則五条により同法による改正前の法人税法一五九条一項に、判示第二及び第三の各所為はいずれも法人税法一五九条一項にそれぞれ該当するので、各罪につきいづれもその所定刑中懲役刑を選択し、以上は刑法四五条前段の併合罪であるから同法四七条本文、一〇条により犯情の最も重い判示第三の罪の刑に法定の加重をした刑期の範囲内で被告人風間匠を懲役一〇月に処し、情状により同法二五条一項を適用してこの裁判の確定した日から二年間右の刑の執行を猶予することとする。

よって、主文のとおり判決する。

(裁判官 小川育英)

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